文章の構成を考えたり、一度書いた文章を見直したりする場合に、「起承転結」の順序で話が進んでいるか…といった全体に目を向けることが多々あります。しかし、文単位で見直して、分かりにくいものはないかを探し、分かりやすく修正、加筆することも大切です。

そもそも文とは句点から句点までを指し、文が連なって文章として成立します。つまり、各文の意味をはっきりと伝えることが出来なければ、読み手はそこでつまずいてしまいます。文章全体の構成を見直すことも大切ですが、一方で一文ずつをチェックし、間違いを直すことの積み重ねが、最終的に文章を読みやすくすることにもつながるのです。

では、文をチェックするとは具体的にどういう点に着目すれば良いのでしょうか。

何といっても重要なのが、文の基本構成である主語と述語が存在し、けして遠くない位置にあることです。例えば、以下の文を読んで見てください。

「今日の天気は朝からとても穏やかな小春日和であるが、昼くらいからどんよりした雲が広がり、徐々に天気は下り坂となり、ところどころで強い雨が降るほど悪くなり、明日は1日中雨になるそうだ」

この文の主語と述語は何でしょうか。主語は「今日の天気」だということが分かりますが、述語はというと、「雨になるそうだ」なのでしょうか。

そもそも主語と述語がセットになれば、その文で言いたいことが分かるようでなければ、相手には文の意味がなかなか伝わりません。先ほどの例文では「雨になるそうだ」なのは明日の天気であり、「今日の天気」は「悪くなり」ということになります。

この一文ですが、様々な問題点があります。

まずは、一文に対して主語と述語のセットと思われるものが2つ存在することです。そのことで、1つ目の主語に対する述語が分かりにくくなっています。

文を書く際には、主語と述語がワンセットになっていることがポイントです。複数のセットがあれば、どの主語とどの述語がセットなのかを読み手が検討しなければなりません。読み手に文の構成を考えさせてしまうと、文章の内容以外のことに気が散ってしまい、内容を理解してもらうことができなくなります。

次に、主語と述語の間がやたらと長いということ。これは文章を構成する要素の1つである段落や、ひいては文章全体に対しても言えることですが、やたらと複雑で冗長になると、読み手の混乱を招いてしまうことになりかねません。

やたらと長い文を見付けたら、意味の分け目で句点を使って分けることで、読みやすさが格段にアップします。先ほどの例文であればこのようになります。

「今日の天気は朝からとても穏やかな小春日和である。しかし、天気は昼くらいからどんよりした雲が広がり、徐々に下り坂で、ところどころで強い雨が降るそうだ。明日は1日中雨になるらしい。」

文はあまり長くなりすぎず、意味の分け目で区切ることで、読み手はリズミカルに、主語と述語は何かを深く考えなくても読み進めることができます。文の主語と述語をはっきりと分かりやすくすることが、相手に理解してもらえる文章にしてくれるのです。