文章を書く際に、ちょっとしたことで相手に与える印象が大きく変わる場合があります。それは文末を「である。」にするか、「です。」、「ます。」にするかということです。

例えば、2つのパターンを読み比べてみて下さい。

「近年は異常気象だと言われている。ゲリラ豪雨や大型台風が発生したというニュースを耳にすることもしばしばある。だからこそ、日頃から防災に気を配る必要がある。」

「近年は異常気象だと言われています。ゲリラ豪雨や大型台風が発生したというニュースを耳にすることもしばしばあります。だからこそ、日頃から防災に気を配る必要があります。」

読み比べてみて、どのような印象を受けたでしょうか。前者は「である。」という文末が基本となっていますが、断定的でリズムがあると感じる一方で、ぶっきらぼうな印象を抱く方もいらっしゃるでしょう。一方で後者は同じ内容であっても、優しくくだけた言い回しに聞こえますが、説得力に欠けるというイメージを抱く方もいらっしゃるかもしれません。

「である。」調にするか、「です。」「ます。」調にするか…それはケースバイケースであり、文章を書く際に決めれば良いことであって、特段ルールがあるわけではありません。ただ一般的には論文やレポートのときには「である。」調で、手紙やエッセイなどは「です。」「ます。」調を使います。

ただし、文章を書く上の文末表現について、注意すべき基本的なポイントがあります。

まずは、「である。」調と「です。」「ます。」調を文章の中で混在させないことです。例えば、先ほど挙げた例文では、以下のようなケースが当てはまります。

「近年は異常気象だと言われている。ゲリラ豪雨や大型台風が発生したというニュースを耳にすることもしばしばあります。だからこそ、日頃から防災に気を配る必要がある。」

このように文末表現がバラバラになっていると、文章全体に統一感がありません。また、これだけのことで文章が下手で稚拙であるという印象を植え付けてしまうのです。

また、もう1つのポイントとしては、文末をあまり揃えすぎないことが挙げられます。以下を比べてみてください。

「和食は日本人の身体に適している。日々の食事の中で積極的に和食を取り入れるべきである。」

「和食は日本人の身体に適している。日々の食事の中で積極的に和食を取り入れるべきだ。」

いずれも「である。」調のスタイルで書かれた文章です。しかし、2文目の文末に注目してみましょう。前者は「べきである。」、後者は「べきだ。」と結んでいます。

しかし、前者は1文目の文末も「いる。」で結んでいるため、全体に変化のない文章になっているのに対して、後者は2文目を「だ。」で結ぶことで、全体にリズムを与え、読み手を飽きさせない工夫につながります。

ほんのちょっとしたことに感じるかもしれません。しかし、文末に気を配って文章を書いてみると、じっくり読み返してみたときに、読みやすさの違いを感じることでしょう。