上手な文章というのは、その文章の中にある筆者の主張はっきりと書かれており、しかも相手にそれを深く印象付けることが出来るものです。文章は相手に何かを伝えるために書くものであり、その主題がぼやけ、何が言いたいのか分からないようだと、本来の目的を果たせていないことになります。

では、読み手に自分自身の主張を印象付けるためにはどうすれば良いのでしょうか。実現するためには、文才が必要だと思われるかもしれませんが、けしてそんなことはありません。相手の心に深く印象を与える文章にするにはいくつかのポイントがあるのです。

まずは、文章の出だしです。「起承転結」の「起」と部分ですが、ここでは問題提起をするという方法もありますが、いきなり結論を書いてしまうのも方法の1つです。まずこの文章は何のためにあり、何を主張したいかを冒頭で明確にしておくのです。「これから、この主張に関して書いていきます」という宣言をすることで、読み手はそのことを念頭に置いた上で、読み進めることが出来ます。

「起」の部分については、けして長く説明する必要はありません。長々と文章が連なっていては、どれが主張になるのかが見えづらくなります。「木を隠すなら森の中」という言葉がありますが、主張を森の中に入れてしまっては、本当に大切な木が見えなくなってしまいます。冒頭で結論を書く場合は、出来るだけ主張を短く、要点をまとめてずばりと言い切ることが大切です。

次に、文章はただ単に結論を冒頭に書けば、自分自身の主張を印象付けることが出来るというわけではありません。まず、冒頭で「これからこの結論のことを書きます」という宣言に過ぎません。結論だけを書いても、それには中身がないため、相手を説得することは出来ないのです。説得するためには具体的な例を書き、その例から結論に至った…という流れで説明していく必要があります。

まず結論を書く…これが「起」の部分ですが、「承」と「転」の部分でより具体的に書いていきます。冒頭で結論を相手に印象付けているため、ここからその結論を納得させることが出来るかは、具体的に書くこの部分の出来にかかっています。ただ、肩に力を入れる必要はありません。どうして結論のように思ったのかを、時系列でも良いですし、具体的なデータを用いてもかまわないので、説明することが大切です。

そして、締めとして、具体例から、やはりこの結論に至ったということを綴ります。文章において一番言いたい部分は、必ず断定の表現で書くことが大切です。ぼんやりした形で書いてしまうと、どうしても相手の心には深く刻み込むことが出来ませんし、それ以前に、結論であることすら分からなくなってしまいます。結論はしっかりと断定して、強く書くことで、読み手に「これが私の主張だ」とより深くインパクトを与えることが出来るのです。

以上のような点に注意すれば、相手に主張を伝える文章に仕上げることが出来ます。何も細かな文法にこだわる必要はないのです。自分が出した結論を強く主張するとともに、それに至るまでの理由やデータなどを並べる…それによって、相手を納得させることができれば、上手い文章であると言えます。