学生時代に英語の授業で細かく文法を習った経験のある方は多いのではないでしょうか。文法は文章を書く上で、絶対に必要な知識ではありますが、いきなり初心者の方が文法を駆使して、正確な文章を書こうと思うと、おそらく大半の方のペンは止まってしまうことでしょう。文法という細かい枠にとらわれすぎて、あまりにそればかりを気にするあまり、文章が頭の中から湧き出してこなくなってしまうのです。

先ほど例に挙げた英語に関しても、学校では細かく文法を習いますが、「実際に英語を使って文章を書いてみなさい」と言われると、どうしても文法のことが気になり、なかなか言葉が出てこないという経験をした方も多いでしょう。文章は話すように書くと、すらすら書けるといわれますが、文法ばかりを気にしてしまうと、どうしても頭でっかちになってしまい、ペンが先に進まなくなるのです。

そこで、文法については、ある程度、文章を書くということに親しんだ上で、より良い文章を書きたいという場合に頭に入れておくようにしましょう。最低限でも文法を理解しておくことで、文章の習熟度は大きく変わってくるのです。

例えば、助詞に「が」と「は」があります。例えば、「あの子は背が高い」とか、「山は雪が積もっている」とか…そういった形で使われます。この使い分け方に、基本的なルールはありません。ただし、誰もが知っているであろうこと、見て明らかなことを説明するときは「は」を使い、それでない場合は「が」を使うと言われています。

しかし、「が」に関して言えば、逆説的な意味合いの接続詞としても用いられます。「今日は晴れているが、明日は雨だ」といった場合です。この場合の「が」は「しかし」や「ところが」と同じようなニュアンスを持っており、思わず使いすぎてしまう傾向があります。とりわけ、この場合の「が」は逆説だけでなく、意表をついた順接でも使われることもあります。「私は青が好きだが、赤も好きだ」といった感じです。「が」には様々な使い方があるため、あまりに多用しすぎてしまうと、読み手がどの意味で用いている「が」なのかが理解しにくくなり、混乱を引き起こしかねないのです。「が」は適材適所で、使い過ぎないように注意することが大切です。

また、良く見受けられるのが「の」という助詞です。例えば、「私の服は赤色だ」という文は、すんなりと意味が吸収できるでしょう。しかし、「私の服の色は赤で、私の父の弟の服のボーダーの色は青です」というとどうでしょうか。「の」がやたらと続くと、一体結末は何だったのかが分かりにくくなります。「の」はそのものを特定していくために用いられますが、あまりに「の」が続くと、元々のものからどんどん絞り込まれて今に至るまでの過程も、読み手に理解を求めることになります。それだけで、細かい理解を読み手に要求する文章になってしまうのです。

このように、「が」や「の」といった一文字であっても、使い方にはコツがあります。そのコツを、いきなり理解して書こうと思うと、文章は思うようには書けないでしょう。しかし、ある程度文章を書くことに慣れてきたら、ちょっとした文法を文章の随所にちりばめてみることで、文章としての質はぐんと向上するのです。