何のために文章を書くかといえば、それは相手に真意を伝えるためです。評論やエッセイ、メールなどは相手に自分自身の気持ちや考えを伝える一方で、小説は主人公の気持ちや最終的な結末を相手に伝えています。相手に思いや考えを伝えられてこそ、文章は意味を成すのです。逆に、どんなに文法や表現に凝っていても、意味が伝わらなければ、上手い文章とは言えません。

では、どうすれば相手に伝わる文章が書けるか…それは例えば、あなたが誰かに注意を受けている状況を想像してみて下さい。

相手にスパッと欠点を指摘されるのと、回りくどい説明であなたの至らない部分を指摘されるのと、どちらが心に響くでしょうか。いくら正しいことを言っていたとしても、その説明が回りくどく、聞いているうちに何が言いたいのか分からなくなってしまったのでは、まったく意味がありませんし、時間の無駄となります。

実は文章でも同じなのです。話し言葉か文字にするかの違いであって、ただただ冗長な文章だと、かえって相手に本当に言いたいことが伝わらなくなります。丁寧に説明しようとしているつもりでも、本当に言いたいことが伝わらなければ、意味を成さないのです。

では、この点を踏まえて、文章を書くにあたって、どんな点に気をつければ良いのでしょうか。

まずは、1つの文がやたらと長くなりすぎないように注意することです。文は始まりから句点までのことを指します。基本的に文は主語と述語がセットになり、その間に補足的に様々な言葉が羅列された構造になっています。主語と述語さえわかれば、最低限の内容は分かるように出来ているのが文であり、多くの文が連なって1つの文章になっていきます。

1つの文が読点でどんどんつながり、何行にもまたがっていると、読み手はその文の主語と述語が何なのかが分かりにくくなります。文の中で肝となる部分が見えにくくなると、どうしても基本がつかめずに読み手を悩ませてしまいます。そうなると、自然と読み手の心は文章から離れてしまうのです。

このことは文に限ったことではありません。文章はズラリと文が並んでいますが、段落ごとにも区切られています。段落単位でテーマを持っており、新たな話題やテーマを盛り込む場合は、次の段落で話を進めていきます。

段落はあくまでも1つの話題について取り上げるために設けるもので、文と同じようにあまり長すぎると、その段落が何を説明しようとしているのかが分かりにくくなります。段落ごとに書き手が伝えようとしていることが、読み手に伝わらなければ、段落そのものが意味を成さなくなります。

段落にいろんな話題を盛り込んでしまうのも、段落としての役割が果たせていないことになります。手頃な長さに抑えて、コンパクトにまとめてこそ段落がいきてくるのです。

文章を作る際には、文そのものも、そして段落についても、あまり冗長になりすぎると、正確に真意が伝わらなくなることを頭に入れておきましょう。コンパクトにまとめる、意味や内容の転換部分できちんと区切る…これだけでも文章は飛躍的に上手くなります。